Kindle 版の書籍をちらちら眺めていたら、以前から気になっていた一冊があり、思わずポチッ。それが、「ジョブズの料理人」、寿司職人・佐久間俊雄さんのシリコンバレーでの26年間を綴ったものである。


すでに多くのレビューが上がっており、評価も高いものが目立っていた気がする。基本的に回想ものなので、いろいろなシーンが出てくるのだが、何か映画を見ているかのように、その時の様子が頭の中に浮かんでくるような気がした。ちょっとこれまでに読んだ本とは異なる気分になれた。

おそらくそれは自分自身がちょうど同じ時期にしばしばシリコンバレーに足を運んでいたからかもしれない。90年代後半、初めての海外出張で訪れて以来、自分で車を運転してあちこちと回った記憶が蘇ってきた。さすがに、この本に出てくるようなお店は行けなかったが(どちらかといえば、ジャンクフードを楽しく食していた頃)。

当時、お世話になった人のほとんどはもうそこにはいないし、すでに亡くなってしまった人もいる。ただ、この本が当時の楽しかったこと(もちろん、つらかったこと)もいっしょに引き出してくれた。そういう意味では読んでよかったと思える一冊である。
ただ、逆に言えば、シリコンバレーという土地を知らない人には、IT系の有名人の名前とエピソードが並んでいるだけでありがたみを感じられない本かもしれない。この本の良さを知るには、一度シリコンバレーに行って、その雰囲気を知ることが必要かも。