今回、依頼元からこの言葉が発せられたのだが、これがこの仕事の失敗(もとい、苦い経験)の原因だった気がする。
依頼元がプロの場合、経験もノウハウもあるので、少しばかりおかしな方向に進んだとしてもすぐに軌道修正ができる。そう、落とし所がわかっているのである。しかし、相手が経験に乏しい、あるいは自分のやり方だけに固執している場合、気をつけなければならない。納期が迫っている、見積もり条件を超えてしまうという切羽つまった状況でさえ、「なかなかイメージがつかめないんで」と無茶なことを言ってくる。ひどい場合は、「私はこの仕事に慣れていないんだから、あなたがきちんと言わないからいけない」と逆ギレされることもある。実際、今回は逆ギレされた。
今回のケースでは、さらに、
- 利用者不在:利用者にとって良いものをと言いつつ、お構いなしに自分のやりたいことをどんどん盛り込む。結果、何をするものかがわからないものができるという状態に。
- 無言のレビュー:節目節目できちんと中間成果物を出し、修正箇所はあるかと問うているのに反応もせず、最後になって「所詮中間であって、私は承認したわけではない」という。じゃあ、なんのためのレビューだったんだ。
- 正しい情報が与えられない:「これが正しい情報です」「これが確定情報です」。しかし、誤字脱字、難解な情報がそこに必ず存在する。中には正しかったものをわざわざ誤ったものに修正することも。結果、余計な作業を負わされることになる。
- 打ち合わせ依存性:電話一本、メールで一行書けば済むことでも「打ち合わせしたいので来てください」という。今時、リモートで打ち合わせする手段はいくらでもある。
まあ、こちらにも非がなかったわけではない。相手の能力を過信していたこと(見抜けなかったわけだ)、前任者との仕事スタイルを前提にしていたこと(仕事をちゃんと引き継いでいるわけではない。常に初めてという気持ちが必要)は否めない。
「やってみてから考えましょう」という仕事は、仕事相手との信頼関係の上に成立する。信頼できない相手とは決してやっては行けない。